「ゾット帝国」を徹底解明

syamu game(裕P)さんが執筆した小説「ゾット帝国」を考察しています。

【ゾッ帝考察36】名文「大型肉食恐竜型ハンター」を読もう! (ゾッ帝初心者向け)

中間報告を進めなければいけないんですが、友人から「ゾッ帝は文章が読みづらすぎて全く読む気になれない」と言われ、「やっぱりそういう人は多いだろうなぁ……」と思ったので、「ゾット帝国(基礎知識)」カテゴリの記事を充実させようと思います。

導入(ナレーション:山根基世

2015年8月7日17時43分。

小説投稿サイト「小説家になろう」にて1篇の物語が公開されました。

「大型肉食恐竜型ハンター」

それは、人類史上屈指の名文が誕生した瞬間でした。

♪~ 映像の世紀メインテーマ「パリは燃えているか

原文を読もう!

まずは、なにはともあれ、原文を読んでみましょう。

大丈夫だって安心しろよ~。ヘーキヘーキ、ヘーキだから(大嘘)

パパっと読んで、終わりッ。

本編リンク:ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~ - 大型肉食恐竜型ハンター

大型肉食恐竜型ハンターは、小型獣型ハンターに振り向いて大きく口を開けて吠える。
 まるで獲物の邪魔するなと言われているようで、攻撃を止めて戸惑う小型獣型ハンター。
 小型獣型ハンターは大型肉食恐竜型のハンターに牙を向けて威嚇したり、吠えて威嚇している。
 大型肉食恐竜型ハンターはぶるぶると頭を振って小型獣型ハンターを片足で踏み潰す。
 大型肉食恐竜型ハンターに踏み潰された小型獣型ハンターは頭を上げて吠え、頭が地面に突く。
 小型獣型ハンターの紅い眼が点滅して消え、小型獣型ハンターからばちばちと火花が散っている。
 大型肉食恐竜型ハンターがオレに襲い掛かろうとしている小型獣型ハンターを銜えて放り投げ、口の中の砲口が伸びてキャノン砲で小型獣型ハンターを撃つ。
 小型獣型ハンターが空中で身体を起こすのも虚しく空中爆発する。
 大型肉食恐竜型ハンターは尻尾で小型獣型ハンターを薙ぎ払い、口の中の砲口からキャノン砲で小型獣型ハンターを撃っている。
 小型獣型ハンターが大型肉食恐竜型ハンターと戦っている。

原文の特徴

まず、「固有名詞の連呼」が挙げられます。434字しなかい文章の中で、「大型肉食恐竜型ハンター」が7回、「小型獣型ハンター」にいたっては13回も使用されています。なんと文章の41.7%が「大型肉食恐竜型ハンター」と「小型獣型ハンター」で占められているんです。そりゃ「代名詞に親を殺された男」って呼ばれますよ……。

次に、「似たようなフレーズを繰り返し使用する」という点が挙げられます。例えば、「牙を向けて威嚇したり、吠えて威嚇している。」では、威嚇という単語を2回も使っています。他にも「口の中の砲口が伸びてキャノン砲で小型獣型ハンターを撃つ。」と「口の中の砲口からキャノン砲で小型獣型ハンターを撃っている。」などは、非常に似通っています。そういえば、Syamuさんは一つの動画内で何度も同じ話をすることがありますよね。何か関係があるんでしょうか。

最後に、「常用外漢字の使用」です。「銜えて」という漢字、読めましたか? 私は読めませんでした(笑) これは「くわえて」と読み、「咥える」と同様に「口にはさむ」という意味です。なんでこんな漢字を使ったんでしょうかね~不思議ですね~。

原文を改善してみよう!

ひょっとすると、もしかすると、固有名詞の連呼さえ改善すれば、普通の文章として読めるんじゃなかろうか……。

そう思って、固有名詞を削減したバージョンを作ってみました。2回目以降の「大型肉食恐竜型ハンター」と「小型獣型ハンター」は、それぞれ「恐竜ハンター」と「獣ハンター」に代えてあります。

固有名詞を削減した文

大型肉食恐竜型ハンターは、振り向いて大きく口を開けて吠える。

まるで獲物の邪魔するなと言われているようで、攻撃を止めて戸惑う小型獣型ハンター。
 獣ハンターは恐竜ハンターに牙を向けて威嚇したり、吠えて威嚇している。
 恐竜ハンターはぶるぶると頭を振って獣ハンターを片足で踏み潰す。踏み潰された獣ハンターは頭を上げて吠え、頭が地面に突く。紅い眼が点滅して消え、ばちばちと火花が散っている。
 恐竜ハンターがオレに襲い掛かろうとしている獣ハンターを銜えて放り投げ、口の中の砲口が伸びてキャノン砲を撃つ。獣ハンターが空中で身体を起こすのも虚しく空中爆発する。
 恐竜ハンターは尻尾で獣ハンターを薙ぎ払い、口の中の砲口からキャノン砲を撃っている。
 獣ハンターが恐竜ハンターと戦っている。

読める読める……微妙だぜ!

読み通すのは簡単になりましたが、まともな文章かと言われると微妙ですね。さらに、フレーズの繰り返しと難読漢字をなくして、接続詞や文末を整えてみます。

固有名詞・フレーズの繰り返し・難読漢字を削減+接続詞と文末を整えた文

大型肉食恐竜型ハンターは、振り向いて大きく口を開けて吠えた。まるで獲物の邪魔するなと言われているようで、攻撃を止めて戸惑う小型獣型ハンター。獣ハンターは恐竜ハンターに牙を向けたり、吠えて威嚇しはじめた。
 恐竜ハンターはぶるぶると頭を振って獣ハンターを片足で踏み潰した。踏み潰された獣ハンターは頭を上げて吠え、頭が地面に突く。紅い眼が点滅して消え、ばちばちと火花が散った。
 次に、恐竜ハンターは、オレに襲い掛かろうとしている獣ハンターをくわえて放り投げ、口の中の砲口を伸ばしてキャノン砲を撃った。獣ハンターは空中で身体を起こしたが、それも虚しく空中爆発した。
 恐竜ハンターは尻尾で獣ハンターを薙ぎ払い、キャノン砲を撃った。獣ハンターは戦っている。

小説としてはどうか分かりませんが、文章としてはかなりまともな水準になったんじゃないでしょうか。

ついでに、全体的に書き直したバージョンも作ってみました。私自身、文才があるタイプの人間ではないので、ちょっと恥ずかしいのですが、ご参考までに。

大部分を書き直した文

大型の肉食恐竜ハンターは、振り向きざまに大きく口を開けて吠えた。まるで「俺の狩りの邪魔するな」と言わんばかりだ。

小型の獣ハンターたちはオレへの攻撃を止め、しばし戸惑っていたが、次第に恐竜ハンターに牙を向けたり、吠えたりと威嚇をしはじめた。
 怒りが頂点に達した恐竜ハンターは、ついに1匹の獣ハンターを片足で踏み潰した。悲鳴のような咆哮が響く。力を失った獣ハンターの頭が地面へと倒れこんだ。紅い眼光は点滅して消え、身体からはバチバチと火花が散った。
 それからは恐竜ハンターの独擅場だった。尾っぽで薙ぎ払う、くわえて放り投げる、口内のキャノン砲を発射する。獣ハンターたちも負けじと対抗する。

もはやオレのことなど眼中にないらしい。これはチャンスだ。

もう一度原文を読んでみよう!

では、記事の前半に戻って、もう一度、原文を読んでみて下さい。

じわじわ来ませんか?

原文の異様さがよく分かると思います。そして、結局は原文が一番面白い、ということに気づくはずです。これが「ゾット帝国」の魅力の一つなんですねぇ。

文章力の基本

文章力の基本

ゾット帝国を全部読んだことある人なんて、Syamuさんのファンの中にも、そうそういないと思います。